🗡 トーラムコラム

【連載第1回:仮説編】ペット育成を数学する〜連立方程式で暴く「美味エサ」の基準値となつき度の真実〜

トーラムオンラインのペット育成において、最大の謎とされてきたもの。それは、「エサをあと何回あげればレベルが上がる(限界突破する)のか?」という内部数値です。

ゲーム内にはプログレスバーも数値も表示されず、ある日突然「レベルアップ!」の文字が浮かび上がるだけ。プレイヤーの間でも、曖昧な「体感」が長年飛び交っていました。

  • 「大体50回くらい?」
  • 「高級なエサをあげた方が早く育つ気がする」
  • 「ちょっと放置してなつき度が下がっても、大したロスじゃないでしょ?」

そこでちゃんと試してみることにしました
「体感に頼るのはやめよう。日々の記録を集め、数学で真実を計算しよう」と。

本連載(全3回)では、2,000回を超える給餌ログからペット育成の参考になるようなコラムを書こうと思います。

第1回となる今回は、すべての基準となる「美味エサの基準値」と、放置による「なつき度のペナルティ」を数学的に調べてきました。


1. 最初の謎:なぜ「56回」と「64回」のブレが生まれるのか?

まず体感的にも金額的にも優しめの「美味エサ」だけを与え続けてレベル上限を突破させた周回ログを大量に集めました。

しかし、データを集計すると奇妙な現象が起きたのです。

  • ある周回:56回でレベルアップ!
  • 別の周回:58回でレベルアップ!
  • また別の周回:64回もかかってレベルアップ…

同じ「美味エサ」で育てているにもかかわらず、なぜ 最大8回(約15%)ものバラつき が生じるのでしょうか?

毎回エサをやるたびにぽち。

エサをやるたびにぽち。

エサやりログのタイムスタンプを1行ずつ精査した結果、1つの決定的な違いが浮かび上がってきました。

それは、「仕事や睡眠でエサやりが遅れ、なつき度が低下した回数」だったのです。


2. 連立方程式で見る「現実世界の混在データ」

もし私たちがロボットなら、「常に4時間周期(100%普通)」だけで60回連続給餌する完璧な実験ができるでしょう。しかし現実のプレイヤーは、忙しい日もあれば寝坊する日もあります。

その結果、1周(約60回)の育成ログには、様々な状態のエサやりが混ざり合ってしまいます。

【実際の周回ログの例(えるちき・Lv172周回)】
  • なつき度100%(普通):10回
  • なつき度100%(空腹):30回
  • なつき度97%(12時間放置):17回
  • なつき度95%(16時間放置):6回

➔ 合計 64回でレベルアップ(進捗 100% 達成)

ここで、各状態の1回あたりの進捗率(得られる経験値)を未知数として置いてみます。

  • $x_1$ :なつき度100%(普通)の進捗率
  • $x_2$ :なつき度100%(空腹)の進捗率
  • $x_3$ :なつき度97%(空腹-1)の進捗率
  • $x_4$ :なつき度95%(空腹-2)の進捗率

すると、この周回は多元一次方程式として表せます。

$$10x_1 + 30x_2 + 17x_3 + 6x_4 = 100\%$$

同様の方程式を、過去11回の周回実績から並べると、11本の方程式が揃います。

$$ \begin{cases} 5x_1 + 49x_2 + 2x_3 + 2x_4 = 100\% & (\text{計58回}) \\ 6x_1 + 43x_2 + 4x_3 + 3x_4 = 100\% & (\text{計56回}) \\ 8x_1 + 44x_2 + 3x_3 + 3x_4 = 100\% & (\text{計58回}) \\ \quad \vdots \\ 10x_1 + 30x_2 + 17x_3 + 6x_4 = 100\% & (\text{計64回}) \end{cases} $$

未知数4個に対して、方程式が11本。数学でいう「過剰決定系」です。ゲーム内の微小な端数処理があるため、連立方程式を普通に解こうとしてもピッタリ一致する解はありません。


3. 最小二乗法が導き出した「数値」

そこで登場するのが、「最小二乗法(重回帰分析)」です。

11本の方程式を行列 $A\mathbf{x} = \mathbf{b}$ にまとめ、「全周回の誤差の二乗の合計が最小になる最適な $\mathbf{x}$」を正規方程式 $(A^T A)\mathbf{x} = A^T \mathbf{b}$ から逆算させました。

その結果、コンピュータが弾き出した解がこちらです。

状態・なつき度 1回の進捗率(経験値) 限界突破までの必要回数
100% 普通(4h周期) 約 1.760 % 約 56.8 回
100% 空腹(8h周期) 約 1.760 % 約 56.8 回
97% 空腹(12h放置) 約 1.706 % 約 58.6 回
95% 空腹(16h放置) 約 1.672 % 約 59.8 回
92% 空腹(20h放置) 約 1.534 % 約 65.2 回

4. 数式が明かした「育成の2大真実」

この結果から、極めて重要で合理的な結論が2つ導き出されました。

真実①:4時間と8時間の経験値は「完全同一」だった!

$100\%$普通とお腹を空かせた$100\%$空腹の進捗率は、小数点以下までほぼ完全に同一(1.760%)でした。つまり、「空腹になるまで待ってからエサをあげても、1回あたりの成長量は全く増えない」のです。

では、なぜ「4時間周期」が最速と言われるのか?答えは単純明快、「同じ57回を消化するスピードが2倍になるから」です。

  • 8時間周期(1日3回):57回 ÷ 3回 = 約 19 日
  • 4時間周期(1日6回):57回 ÷ 6回 = 約 9.5 日(圧倒的最速👑)

真実②:なつき度低下による「2重のペナルティ」

放置して親密度が97%、95%と落ちると、進捗率も見事にその比率で削られていました。これにより、「1日あたりの回数が減る(時間ロス)」だけでなく、「必要回数そのものが最大64回以上へと跳ね上がる(素材・回数ロス)」という2重のペナルティを受けることが実証されました。


📢 次回予告:第2回「ミニ・高級エサ編」へ

こうして「美味エサ=最短56.5回(約1.76%)」という揺るぎない絶対基準が確立されました。

しかし、ここで新たな疑問が湧き上がります。
「他のエサ(高級・ミニ・普通・元気)は、美味エサと比べてどれくらい効果があるのか?」
「値段の高い『高級なエサ』は、本当に美味エサより優れているのか?」

次回、第2回では、効果の低いエサを現実的な時間で解明するための奇策「分割給餌実験」の全貌と、高級エサ・ミニエサの驚くべき実測結果を暴きます。お楽しみに!